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琥珀色の黄金水に白い泡。 つまりはビールなのだが、ビールの入ったグラスを高らかに掲げるとやたらと陽気な声。 「乾杯!!」 言うや否や一気に呷る。 続いて二杯目のビールを溢れんばかりにグラスに注ぎながら我らが兄貴、ヴァイスはご機嫌であった。 どれくらいご機嫌なわけかというと、「歌でも歌い出したい気分だ、んんっふ~ん♪」 まぁこんな感じ。 ウサギもかくもやという瞳をジトッと半目にしながらシンはご機嫌な兄貴を冷たく見つめていた。 「いや~たまには男だけで飲むってのもいいやねぇ~」 「あのヴァイスさん…」 意を決したのか、そろりと声をかけるが、ヴァイスは何処吹く風といった感じだ。 「おう、シン遠慮せずぐいぐい行けよ。奢りだ」 「いや、だからヴァイスさん……」 尚も言い募ろうというシンを他所に、ヴァイスはおつまみを物色しつつ早くも二杯目を空ける。 「お、何だよチータラが無いじゃんよ~カマンベールチーズしか無いって」 「オッサン!!」 おつまみのチョイスに文句を言い始めたヴァイスにシンがキレた。 「オッサンじゃな~い!!何だよシン。飲め飲め!!」 「飲めじゃねぇよ……俺未成年だっつーの」 「細かい奴だな~」 「細かくない!!百歩譲って俺は良いとしてもエリオまで呼ぶとはどういう了見だよ」 視線をヴァイスが移してみれば、手元のグラスを困ったように見つめる赤毛の少年の姿がある。 「ビールは苦手か?ワインにするか?」 「だからそういう問題じゃねぇ!!」 「何だよ……」 「飲み会をするのは勝手だけどさ、何で俺とエリオが入ってるんだよ」 飲み会のメンバーを見ればシンの疑問も最もであった。 エリオとシン、そして普段は中々接する機会の無い無限書庫の司書、ユーノの姿があった。 ユーノはただただ苦笑してグラスをちびりちびりと舐めるようにしている。 「飲むんなら普通に同僚とかで良いだろ?」 憮然としたシンに対して、ヴァイスはチッチッチと人差し指を振る。 その指をへし折ってやろうかこの野郎、そうシンが静かなる殺気を高めると、三杯目を空けたヴァイスがにやりといやらしい笑みを浮かべる。 そしてエリオをビシリと指差す。 指されたエリオはキョトンとしている。 「素直系ショタっ子!」 「は?」 何を言っているのかわからないという顔のシンを他所に、ヴァイスは次いでユーノを指差す。 「中性的美形!!」 「は?」 そして、最後にシンを指差す。 「ツンデレ美少年!!!」 「は?」 ヴァイスは立ち上がると、酒瓶を手に堂々とした様子で叫ぶ。 「どうせ飲むなら、お兄さん綺麗どころと飲みたい!!」 「死ね!!」 間髪いれずに叫ぶシン。 叫ばれたのはある意味とても真理であった。 しかし、悲しいかな、シンには理解出来なかった。 「見ろ!!この隙の無いメンツ!!合コンしたってここまでのクォリティーは期待出来まい」 「アンタの頭の中は隙だらけだな……」 ヴァイスの手には名酒『美少年』。 その酒瓶で頭をかち割ってやろうかとシンは思った。 きっとからんと良い音を立てるであろう。 ユーノは苦笑しつつワインを口にしている。 同じ男かと、シンは自分を棚に挙げながら内心呟く。 エリオは観念したようにぺろぺろと子犬の如く酒に手を出す。 頭痛を覚えながらヴァイスをもう一度見つめると、兄貴は元気にサムズアップ。 「何ご満悦って顔してるんですか……」 「バッカ、オメェ汗臭い野郎共と飲まず、かといって後腐れのある女でもなく、それでいて目の保養になってるんだ。もうサムズアップしかねぇだろ」 「散々人を合コンに誘ってるのって誰でしたっけ…?」 「色々後が面倒なんだよ!!具体的に言えばブッキングしてだなぁ…」 「もう良いです」 「事の最中に『来ちゃった♪』なんつーてもう…」 「もう良いっつてんだろうがよ!!」 「『来ちゃった♪』ならまだ良いけどよ、『来ないの♪』とか言われた日にゃあ、お前…」 「最低だ……性病移されて真実の愛とかお寒い事を言いながら肉欲に溺れつつ不治の病とかそれ何てケータイ小説?みたいな感じで死んでしまえ」 「ワンブレスで言い切った!!ツンデレだなぁ少年~~で、シンちゃんはいつ頃お兄さんにデレてくれるのかにゃ?」 「未来永劫ありません……つかデレって何ですか!」 「まぁまぁ、シン君」 シャム猫の如くツンケンしているシンと、それを楽しそうに受け止めるヴァイスの二人に待ったを掛けたのは第三者のように傍観していたユーノであった。 「ユーノ先生……」 「折角男だけでこうして騒ぐ機会をヴァイスが設けてくれたんだから、お言葉に甘えようよ」 「先生まで……」 「さっすがユーノ。わかってる♪伊達にスキンケアは怠ってないなぁ」 「オッサンは黙ってろ!!」 「酷い!!シンちゃん酷い!!パパそんな子に育てた覚えは無いぞ!!」 「既に出来てるのかよ!!酔っ払い!!!」 苦笑するユーノの前で、シンとヴァイスのじゃれ合いが再開された。 ◇ 「う~~……もう無理ですぅ~」 シンはゆっくりとした動きで赤い髪を撫でる。 チクチクとした手触りが自分の髪質とは異なり、それが面白くて撫でる手を休めない。 シンに撫でられているのは早々に酔いつぶれたエリオ。 顔を赤くし、自身の膝枕で潰れてしまっているエリオを眺めながら、シンは疲れた視線を向こう側で転がっているモノに向けた。 「ごぁぁ~~んごぉ~~」 空いた酒瓶を抱えながら、高鼾をかいて眠っているヴァイスを見ると、シンは深々と溜息を吐く。 ユーノはそれを見てクスクスと笑う。 憮然としたシンの視線を受けても、尚、楽しげにユーノは微笑む。 「ヴァイスさん……飲むだけ飲んで潰れちゃったよ……ったく……」 「はははは……でも少しは気が晴れたんじゃない?」 「え?」 思いも寄らぬ言葉に、シンはギョッとさせる。 ユーノは微笑みを絶やさずに、何杯目かになるワインを空ける。 その目元は微かに赤い。 「何か物思いに君は耽る事が多いみたいだね。今も」 「そんな事……」 「シン君。ここにはなのはもフェイトも、誰もいないよ?」 不意に向けられた真っ直ぐな視線に、シンは言葉に一瞬詰まる。 幾ばくかの逡巡の後、観念したようにシンは視線を膝の上のエリオに向けながらぽつりと零す。 「正直……こうやって楽しく騒いでると……不安になる事があるんです……」 「不安?」 「俺はここにいても良いんでしょうか?」 その声に、縋るような色が押し止められている事に、ユーノはシンという少年の強さを感じた。 けれども、見え隠れする程に弱っている、それもまた事実だと思いながら、シンの言葉の続きを待つ。 「俺は他所の世界から来た異邦人で………そんな俺がここに居続けて、皆と仲良くなって……」 「場違いだって……思うのかい?」 こくりとシンは頷く。 紅の瞳が寂しげに揺らめく。 喉を潤すように、ユーノは残り僅かなワインを流し込む。 「君は……昔のフェイトみたいな目をしてるね」 「……隊長ですか……?」 「うん。ここに居ても本当にいいのか、常に自問自答しているみたいな……そういう目をするね」 「でも……俺は隊長と違います……」 「さっき言ってた異邦人っていう話かい?」 「…………俺は他所の世界から来た……ホントの余所者だ……それが皆と深く関わっても……」 「なのははね」 「え?」 「なのはは魔法なんて関わりの無い子だったんだ……僕がミッドチルダからやって来るまでは。 僕もなのはにとっては異邦人だよ。フェイトにとっては自分の世界を壊してくれたなのはは異邦人以外の何者でもない。 みんなそれぞれがそれぞれにとっては異邦人なんだ」 「それは……それは屁理屈ですよ……」 「いいんじゃないかな、屁理屈で」 「いいって……そんな……」 「誰も幸せにしないような理屈なんていらないと思うよ。少なくとも、君は幸せじゃないみたいだ」 「幸せ……わかりません……」 「じゃあ、聞くけど、なのは達……スバルやティアナが悲しい顔をしているのを見てシン君は幸せなのかな?」 その言葉に弾かれたようにシンは顔を上げると、勢い良く首を振る。 正直なその反応に、ユーノは笑みを浮かべる。 真っ直ぐな紅の瞳は一見苛烈なようで、その実優しい。 それが伝わってきただけで、ユーノはシンを好ましいと思った。 「じゃあ、やっぱり誰も幸せにしてくれない理屈だ。僕が見た限り、君が落ち込んでて幸せになるような人は六課にはいない」 「そう……なんでしょうか…?」 「そんなんです」 きっぱりと言い放たれた言葉に、シンは呆気に取られる。 ユーノはワインを空いたグラスに注ぐと、一口、ゆっくりと含む。 「じゃあ、屁理屈でも皆が幸せになれる方が良いよ。皆が皆異邦人なんだ。君だけじゃない。君は一人じゃない。それに………」 「う~ん……むにゃ……シンさん…ハメ技は酷いですよ~~」 シンの膝に頭を乗せたエリオが寝言を呟く。 エリオの寝言は、シンとユーノの間に生まれた沈黙にするりと入り込んだ。 ぷっ、とユーノが噴き出す。 戯れに、赤いエリオの髪を撫でると、ユーノはエリオに向けていた視線をシンに移す。 「少なくとも、この場に居る三人は君に居て欲しいって思ってるよ」 その言葉に、シンはただただ無言でゆるりと膝の上のエリオの横顔に視線を移した。 穏やかなその寝顔に、自然と笑みが零れる。 「ありがとう……ございます……」 ◇ ユーノは毛布を持ってくると、兄弟犬のように身を寄せ合って眠っているシンとエリオに優しくかけてやる。 その穏やかな寝顔に、つられて笑みが零れる。 「もう狸寝入りは良いよ、ヴァイス」 そうっと、シン達を起してしまわぬように囁かれた声に反応して、むくりと起き上がる人影。 ヴァイスは、苦笑を零すと、プルタブを開けていない缶ビールを手繰り寄せると、勢い良く流し込む。 「バレバレか?」 「大丈夫、シンは気付いてないよ」 二人が穏やかに寝入ってしまっているのを確認すると、ヴァイスはユーノの隣りに腰掛ける。 ヴァイスは黙ってユーノのグラスにビールを注ぐ。 「やっぱりユーノ先生に任せて良かったぜ」 「普段からおちょくるのを止めればいいのに……そうすればこんな役人任せにしなくても良かったんじゃないの?」 ヴァイスは首を振ると、普段は中々触れないシンの猫の毛のような髪を撫でる。 その感触が気持ち良く、何度も撫でるヴァイスの瞳は穏やかで柔らかい。 其処には、バカなことを言ってシンに冷たい目で見られていた姿は無い。 「いんや、やっぱりユーノが適任だったぜ」 「面倒見が良いんだね」 「そんな事は無いけどよ、まぁただこのツンデレボーヤが随分と思いつめてたみたいだからな」 「僕にはアレだけ六課の子達に好かれていて自分がここに居ていいのか不安に思えるこの子が少し不思議だけどね」 「コイツはまぁ、ガキのクセに随分と無くしちまったモノがあるみたいだからな。誰かがハッキリ居ても良いって言ってやらなきゃ信じられないんだろ……」 「………そっか……それは好きとは少し違うから……そうなのかもね………」 シンの鴉の濡れ羽色の髪を指先に絡めながらヴァイスはビールをあおる。 「しかしまぁ………ティアナ達もまだまだだねぇ」 「何がさ?」 「惚れた男の不安一つ摘み取ってやれねぇようじゃあ、まだまだ女の経験値足らねぇな」 「ふふふふ、仕方ないよ。彼女達も彼女達で大変なんだよ」 「ま、まだまだお嬢ちゃん達には可愛い弟達はやれないな」 「そうだね」 二人は顔を見合わせると小さく笑う。 シンは普段の険が取れた穏やかな子供のような寝顔をしていた。 ツンつん×デレでれ 13話へ進む 一覧へ
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51dsdxuj_1.jpg d7rrtcd9_1.jpg fiegcrml_1.jpg massproduction.jpg naked.jpg IMG_0001.jpg ↓ 感想をどうぞ(クリックすると開きます) +... 名前
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なのは「くぅぅっ…やっぱり、痛いなぁ…でも、すぐによくなるから、そのまま…」 フェイト「ふっ…ん、あぁっ!……はぁ、はぁ…ううん、大丈夫だよ、続けて…」 はやて「あだだっ、いきなりやらんでもええやんかー、女の子はコワレモノなんやで…ふぁっ」 シグナム「…早くしろ、この程度の痛み、どうということは……んんっ!」 ヴィータ「やめろ、やめろよぉ、痛ぇよ…そんなところ…バカバカ、指入れるな!…ひぐっ…えぐっ」 スバル「ひゃうっ! だめ、さわらないで…そこ、敏感になってて…はあうっ」 ティアナ「あんた…いつも喜んでるでしょ、あたしが痛がるの見てっ…違うなら痛くしないでよっ!」 ジョルノ「傷口に触んなきゃ治せないんだからしょうがないでしょう? …なに、前屈みになってるんです? ヴァイスさん」 ヴァイス「たった今おまえさんをぶっ殺したくなったんだが」 ジョルノ「なんでです…? それより次はあなたの番で…」 ヴァイス「…うぁ! バカ、よせ…脱がすな、感じる、指這わすな! んあああああああ~~~ッ」 ジョルノ「もだえながらブリッジしないでください」 ヴァイス「痛ぇんだよ、コナクソがッ!!」 エリオ「ヴァイスさん終わったらキャロ、お願いします…さっきから痛そうで」 キャロ「あの…できるだけ、やさしく…」(ドキドキ) 単発総合目次へ その他系目次へ TOPページへ
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DS2/S16-02 カード名:“悪魔使い”ヒビキ カテゴリ:キャラクター 色:黄 レベル:0 コスト:0 トリガー:0 パワー:500 ソウル:1 特徴:《サマナー》?・《竜》? 【永】他のあなたの《サマナー》?のキャラすべてに、パワーを+500。 【自】他のあなたのバトル中の《サマナー》?のキャラがリバースした時、あなたは自分の山札の上から1枚を、このカードの下にマーカーとして置く。 【自】マーカーがこのカードの下に置かれた時、このカードの下のマーカーが11枚以上なら、あなたはこのカードの下のマーカーすべてを、控え室に置き、自分の、手札か控え室の「ルシファー」を1枚まで選び、舞台の好きな枠にレストして置く。 みんなの悪魔、使わせてもらうよ!! レアリティ:R 13/10/04 今日のカード。 13/10/18 今日のカード。 ヴァイスにおけるデビルサバイバー2というタイトルの代名詞と言っても過言ではない、ド派手な能力をもったカード。 《サマナー》への特徴指定パンプに加えて、味方の《サマナー》がバトルで負けるたびにマーカーが増えていく効果をもつ。このマーカーが11枚までたまると一気に解放し、レベル3のルシファーを召喚することができる。この効果で登場させたルシファーにはマーカーが付いてパワーアップし、毎ターンショット効果を使うことができるので、召喚に成功すれば終盤の展開はかなり有利に進められるだろう。ちなみに、手札か控え室にルシファーが1枚も無い場合は召喚に失敗してしまうので注意。 この11という数字には原作再現の意味も込められているが、相手の構築次第では11枚溜めることが難しい場合もある。というのも、レベルは0でパワーも500しかないため、後列を対象にとれる除去効果には大抵引っかかってしまい、マーカーが溜まる前にやられてしまう可能性が高いのである。また、後列除去効果がなくても、リターンアイコンをめくられればそれだけでアウト。 対戦相手としても、ルシファー召喚を阻止する手段がデッキに入っているならば、全力で除去しにかかってくるだろう。 このカードを使うにあたり他に留意しておくべきなのは、マーカーを置く効果が強制であることと、マーカーは山札の上から置くので、何がマーカーになったかがわからないということ。デッキ圧縮を考えればCX以外のカードがどんどんマーカーとしてたまっていくのがありがたいが、もしマーカーにCXが何枚も入ってしまうと、中盤以降ろくにキャンセルせずにあっというまに敗北、なんて事態にもなり得る。 幸い、デビサバのネオスタンダード構築では山札からサーチする手段が豊富にあるため、山札に残っているCXを数えることで、マーカーにCXを噛んでしまったかどうかはある程度わかるようになっている。数えてみて、もしCXがマーカーに何枚も入ってしまったことが予想される場合は、ルシファー召喚を諦めてこのカードを圧殺することも視野に入れるべきだろう。 ・関連カード カード名 レベル/コスト スペック 色 備考 ルシファー 3/2 10000/2/1 黄
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~EGO本部・地下室~ ヴォルケイン(AIS)「いくぞ!」 ガコン! ヴォルケインの背負う巨大な砲塔が展開される。 ギュゥゥン!! 砲塔の先端に収束していくエネルギー。 ヴォルケイン(AIS)「消えろ!」 ドゴォォォン!! 砲塔から放たれる巨大なエネルギー砲。 十也「みんな!よけろ!」 エネルギー砲を済んでで躱す4人。 レイジ「この駆動鎧は高速移動からの高火力による一撃必殺を得意としている。奴の動きを封じなければ手が付けられない」 先ほどの戦いの経験からヴォルケインの特性を見抜いているレイジ。 ヴァイス「でも…」 手に持った白い長銃シュルゲン・イェーガーでヴォルケインに狙いを定めるヴァイス。だがヴォルケインは高速で動き回りヴァイスの照準は定まらない。 ヴァイス「これじゃあ動きを止めようにも…」 十也「ブレオナクアンカー!」 バシュン! ブレオナクの刃部分が射出され、ヴォルケインへと狙いを定める。 ヴォルケイン(AIS)「遅い!」 シュン! ヴォルケインはいともたやすくブレオナクを躱す。 ヴォルケイン(AIS)「はははは!」 高笑いを上げるAIS。 ゲイン「奴を捉えられん!」 ヴォルケイン(AIS)「さらなる絶望をみせてやる」 ボゴン! 地面から2体のヴォルケインが姿を現す。 レイジ「増えただと!?」 ヴァイス「一体だけでも厄介なのに…さらに2体なんて」 十也「だったら!」 ガコン! ブレオナクの刃が柄の部分へ装着される。 十也「本体を狙う!」 不気味に脈打つAISへとブレオナクを構え斬りかかる十也。 シュン! ヴォルケインが十也の目の前に現れる。 十也「なっ!」 あまりの高速移動に反応が遅れる十也。 ドゴン! ヴォルケインの拳が十也に撃ち込まれる。 十也「ぐはっ!」 ヴォルケイン(AIS)「やらせるはずがない。人間の思考回路は浅はかだ」 その場に膝をつく十也。 レイジ「十也!」 シュン! 二体のヴォルケインが十也を囲むようにその場にたたずむ。3体のヴォルケインが十也を取り囲む。 ヴァイス「まずい!十也が!」 ヴォルケイン(AIS)「まずは一人」 ガキン! ヴォルケインの腕部の装甲が変形し円盤のカッター状となる。 キュィィン!! 高速で回転するカッター。 ゲイン「へレティス2!やむを得ないか…!出てこい!」 ヴォルケイン(AIS)「消えろ!」 その手を十也に振り下ろすヴォルケインたち。 十也「くっ…」 ズン! 十也「…あれっ?」 ヴォルケインのカッターにより切り刻まれるのを想像していた十也は目の前の事態に驚く。 十也「駆動鎧が…倒れている?」 ヴォルケインたちがその場に撃ち伏している。いやよく見ると違う。ヴォルケインたちは何かに上から押し付けられているような様子で立ち上がろうとしていた。 上を見上げる十也。そこには彼の見覚えのある姿があった。 十也「ティスシス!?」 ティスシス「お久しぶりですのお兄様」 ふわりとその場に浮かぶ白髪の少女。 レイジ「あいつはレーヴェンズの!」 ヴァイス「なんであの子が?」 突如現れたティスシスに驚きを隠せない十也とレイジ、ヴァイス。 ゲイン「詳しい説明はあとだ!へレティス6!」 ティスシス「かしこまりましたの」 ジャキ! どこからともなく取り出した身の丈以上の長さを持つ日本刀を手に持つティスシス。 ティスシス「サクッといきますの」 ザシュ!ザシュ! ヴォルケインを切断していくティスシス。 ティスシス「これで」 長刀を突き刺すように構えるティスシス。 チャキ! ティスシス「おしまいですの」 ザシュ! 最後の一体へと長刀を突き刺すティスシス。 バシュゥゥ… ヴォルケインたちは霞のように消滅する。 十也「なんでティスシスが?」 ティスシス「黒の魔導書の力で私は新たなる生命として生き永らえましたの。今度は…」 チャキ! 長刀を構えるティスシス。 ティスシス「お兄様たちとともに戦いますの。私のパートナーのゲインとともに」 十也「パートナー?」 ゲイン「気にするな。戯言(ざれごと)だ」 ティスシス「恥ずかしがることはありませんのよゲイン」 ゲイン「まったく…調子がそがれるな」 やれやれと首を振るゲイン。どうにもティスシスには毎回調子を崩される。 レイジ「レーヴェンズが生きていたとは…」 ヴァイス「驚きね」 ティスシス「私だけですの。ほかの仲間たちはもう消滅しましたの。あれを除いては…」 目の前を指さすティスシス。彼女が指さす先は… ドクン!ドクン! 怪しく脈打つAISだ。 十也「あれもレーヴェンズなのか!?」 ティスシス「混ざりもの。正しくは私の同胞を取り込んだ存在ですの」 ゲイン「レーヴェンズと未元獣、その細胞を取り込み人工知能による制御を試みた異物だ」 ヴァイス「こいつがボスを…」 レイジ「AIS…アルバド隊長の仇。今度こそ決着をつける!」 ナイフを構えるレイジ。 AIS「……」 シュルルル!! AISの周囲の触手がAISを囲んでいく。無数の触手がAISを包み込む。 ゴゴゴゴ!! 地震のようにあたりが激しく揺れる。 十也「うわっ!」 レイジ「天井が!」 地下室の天井が崩れ落ちていく。 ドゴン!ドゴン! 崩壊していく地下室。 ヴァイス「なにあれ!?」 十也たちの前には巨大な球体が鎮座していた。 レイジ「これは…触手か!」 無数の触手が絡まりあい巨大な球体を形成している。 ウジュル!ウジュル! 球体状に絡まりあう触手が不気味にうごめく。 ゲイン「この中に本体が隠れているか」 十也「こいつを倒せば暴走する触手を止められる!」 ティスシス「なら倒すほかに選択肢はありませんの」 ヴァイス「いくわよ!『シュルゲン・イェーガー』!」 バシュン! ヴァイスの持つ白い長銃から放たれる複数の銃弾。拡散弾のように放たれるそれはAISを覆う触手へと直撃する。だが分厚く何層にも重なった触手はヴァイスの攻撃だけではびくともしない。 ゲイン「これでどうだ!『轟迅弾』!」 ゲインの右腕に装着された腕部ユニットが触手へと放たれる。 ドゴン! その一撃は触手へダメージは与えるが切断したるには至らない。 ウジュル!ウジュル! 依然として平気な様子でうごめく触手。 AIS「……」 バシュ! 触手が十也たちを突き刺そうと襲い掛かる。 ティスシス「私の後ろに」 ティスシスの後ろに集まる4人。触手はティスシスへと襲い掛かる。 ギン! ティスシスの目の前で止まる触手。まるで見えない壁でもあるかのように触手はそれ以上ティスシスに近づけない。 シュルルル! 触手がティスシスを覆う見えない壁に沿って進んでいく。 シュルル! ティスシス「なんですの!?」 触手がティスシスを中心に球体状に展開されている壁ごと彼女を覆いつくす。 ゲイン「へレティス6!」 ブン! ティスシスを覆いつくした触手が手を振り上げるかのように触手を振り上げる。 ブン! そのまま地面へと勢いよく叩きつける。 ドスン!ドスン! 何度も地面へと触手を叩きつけるAIS。 ウジュルル!! ティスシスを覆っていた触手がAISの元へと戻っていく。触手の中から現れたティスシスは… ティスシス「うぅ……」 フラフラ ふらつくティスシス。外傷はないが、激しく何度も揺さぶられたせいで平衡感覚を失い気分が悪そうに見える。 ティスシス「ゲイン…しばらく戦えそうにはありませんの…」 ゲイン「休んでいろヘレティス6。あとは俺たちが始末をつける」 ティスシス「お任せしますの。それでは…」 シュン! 光となってゲインの体に入るティスシス。 十也「えっ!?ティスシスがゲインの中に!どうなってるんだ?」 慌て驚く十也。 ゲイン「今は説明している暇はない。状況に集中しろヘレティス2」 十也「あ、あぁ。でもティスシスがいないんじゃ次は防げない」 ヴァイス「防御する術(すべ)がないならやることはひとつね」 レイジ「そうだな。こちらから撃って出るのみだ!」 ゲイン「奴が動く前に攻める!」 ジャキ! 両腕を構えるゲイン。 ゲイン「はぁぁ!!」 アーヴァヘイムの腕部ユニットでAISを包み込む触手へと殴り掛かるゲイン。 ドゴン! 触手は拳撃による攻撃では大したダメージは受けていないようだ。 ゲイン「砕けぬならば断ち切る!粒子ブレード!」 キュィィン! 腕部ユニットの球体が赤く輝き粒子の刃が肘から展開される。 バッ! 両腕を交差するゲイン。 ゲイン「粒子ブレード!最大出力!!」 ヴン! ゲイン「轟翼鳳(ごうよくほう)!!」 ザシュン! 肘から展開された巨大な刃がAISの触手を切り刻む。 ボドボド… 切り刻まれた触手がその場に落ちていく。 だがゲインの攻撃は触手の中にいるAISの姿をさらけ出すには至らない。 十也「AISを覆う触手をどうにかしないと…」 レイジ「ヴァイス!」 ヴァイス「おっけー!いくわよレイジ!」 ジャキ! シュルゲン・イェーガーを構えるヴァイス。レイジはシュルゲン・イェーガーの銃口の前に佇む。 レイジ「触手の中の奴を直接叩く!」 シュッ! 超合金性の特殊ナイフを両手で持ちシュルゲン・イェーガーの銃口の先端へ構えるレイジ。 レイジ「『狼の眼(ウォルフス・アーケ)』」 レイジの両目が蒼く輝く。 レイジ「こい!」 ヴァイス「遠慮なく!シュルゲン・イェーガースプレッドモード!」 バン! ヴァイスの持つ白い長銃シュルゲン・イェーガーから無数の銃弾が放たれる。 キン!キン! 銃口の先端に置かれたナイフに弾が当たり、次々と半分に切断されていく。普通の人間ならば放たれた銃弾をその眼に捉えることなど不可能だ。だがレイジの能力『狼の眼』は眼に映る事象をスローモーションで捉えることができる能力。物体の動きが数万分の一で動く世界を彼はその眼に捉える。常人が見る世界とは違う世界で彼はその身を動かす。 ヒュン! 切断された弾丸はAISを覆う触手に向かって飛んでいく。 バス! 触手の中央に着弾する銃弾。 バス!バス! 十也「弾が全部同じ位置に!」 一点を狙ったかのように同じ場所に着弾していく無数の銃弾。 レイジ「ナイフで射角を調整した。奴を撃ち抜く」 手に持ったボロボロのナイフを捨てるレイジ。 バス! 次々と一点に向け放たれる銃弾は前の弾を次の弾が押し込むように触手の奥深くへと撃ち込まれていく。 バス!バス! そして… バン! 触手の中央を貫通する銃弾。 ヴァイス「よし!」 レイジ「奴を貫いたか?」 AIS「……」 ウジュウジュ! 触手が手足を広げるように大きく展開する。 ゲイン「姿を現したか」 AIS「……」 ドクン!ドクン! 怪しく脈打つ球体が触手の中から姿を現す。球体の一部に銃弾が貫通した穴が開いている。そこからなんらかの液体がドロドロと漏れている。 レイジ「さっきの攻撃は効果があったみたいだな」 ヴァイス「自ら現れてくれるなんて好都合ね」 ジャキ! 長銃を構えるヴァイス。 AIS「……」 ボド!ボド! 触手を切り離すように地面に落とすAIS。 十也「なんだ…?」 ウジュウジュ! 触手が変形していく。 ゲイン「こいつは…」 ヴォルケイン「…」 変形した触手は無数のヴォルケインへと姿を変える。 ヴァイス「こんな数相手できるほど余裕はないわね。本丸をたたく!」 バッ! ヴァイスの前に立ちはだかるヴォルケイン。 ヴァイス「AISは狙わせないってことね」 レイジ「消耗戦になったら勝ち目はない!一気にケリをつける!」 ゲイン「あぁ。リミット解除!」 十也「AS(アクセラレート・シフト)!」 ドドドド!! ヴォルケインたちと十也たちの激戦が繰り広げられる。その奥にたたずむAISを倒すために。 シュッ! ヴォルケインたちの合間を縫って誰かがAISの目の前に現れる。 レイジ「終わらせるぞAIS!」 ジャキ! 両腰からナイフを取り出すレイジ。 AIS「……」 バシュン! AISから触手がレイジに襲い掛かる。 レイジ「見えている!」 バッ! 触手を躱すレイジ。 レイジ「これで!」 ザシュ! ナイフをAISに突き刺す。 ドボドボ… AISから血のように溢れ出る液体。 AIS「……」 ドクン…ドクン… AISの鼓動が次第に弱くなっていく。 ヴォルケイン「…」 十也「なんだ?」 バシャァァ… ヴォルケインたちが砂のように崩れ落ちる。 ゲイン「やったか」 ヴァイス「レイジ…」 レイジ「アルバド隊長…あなたの仇はとりました」 ゴゴゴゴ!! 激しく振動する地下室跡。 十也「地震!?」 ゲイン「脱出だ。まもなく崩壊するぞ!」 レイジ「速く地上へ!」 十也「あぁ!」 ドゴン! 天井が崩れ落ちていく。 ヴァイス「急ぐわよ!」 地下室跡を脱出する4人。 AIS「……」 ボロボロ… 球体のダメージを追った箇所から液体がとめどなくあふれるAIS。 ドゴン!ドゴン! AISの周辺の天井も崩落していく。 ドガガガ!! AISの頭上の天井が崩落する。 ガゴン!バコン! 崩落する地下室跡。無数のがれきに埋もれたそこはもう見る影もない。 ~EGO本部・正門前~ バシャァァ… 無数の触手が砂のように崩壊していく。 ツバメ「これは…」 ヒルデ「やったようですね」 結利「あれは…」 結利が倒壊した本部のほうに人影を見る。 ウルズ「やったか十也」 十也たちの帰還だ。彼らは無事地下室跡から脱出したのだ。 レイジ「AISは倒した」 十也「これでEGOとの闘いは終わったんだな」 ツバメ「そうね。もう私たちはテロリストではないわ」 ゲイン「だがどうするつもりだ。EGOが崩壊した今、多くの問題が出てくるぞ」 モニカ「本部が壊滅した以上、態勢をすぐにでも再築しなければなりません。ですがそれだけのことをできる人物が…」 ???「それは私が責任をもって行おう」 モニカの前に現れた人物。それは… モニカ「グリンツ前長官!」 グリンツ「元EGO本部長官としてその責を果たそう」 ツバメ「本部に幽閉されていたの。私たちが見つけたのでそのまま連れ出したのよ。あぁそういえばこの子もね」 チフ「…」 寝ている少女。 レイジ「チフ!」 ヴァイス「無事だったのね!」 ツバメ「後はアポロンたちにも連絡を入れないとね」 ~EGOグリフ大陸支部~ キノ「はぁ…はぁ…」 アポロン「くっ…」 ディック「なんていう強さだ…」 疲弊するアポロンたちの前に立ちはだかる赤、青、緑の鬼。 ニーノロータ「これが地縛民の力だ」 ジョルジュ「世界は神の思うがままに」 モリコーネ「哀れな人類に救済を」 ザッ!ザッ! 3人の鬼の後ろから歩いてくる人物。少年の姿をしたその人物はアポロンたちに告げる。 ニコロ「メサイアの直系。その血はこの時代で途絶えるんだ。君たちの旅もここで終焉を迎える」 to be continued
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はやて「さて最近のyagami復権運動を鑑みるに、これは早々にシンとくっ付けという天啓と解釈してええんやな」 なのは「ええわけないよ。現在進行形で頭冷やそうか。っていうかいっそ凍りつこうか」 フェイト「復権運動が実際起こってるかは置いといて、それはちょっと便乗出来ないな」 ヴァイス「おおッ、火花散らしてるね~」 エリオ「あ、ヴァイスさん」 ヴァイス「なんだよ、モンハンやるなら声かけろってエリオ」 エリオ「スイマセン」 ヴァイス「で、景品もとい、シンは何してるんだ?」 くい(エリオ、PSPから目を逸らさずに指差す) ヴィヴィオ「シンパパ~♪」 シン「お、ヴィヴィオどうした~」(駆け寄ってきたヴィヴィオを抱き上げるシン) ヴィヴィオ「んとね、えっとね、ハイ!!」 シン「携帯?」 ティアナ「今日は父の日でしょ?」 シン「もしかして……これヴィヴィオが買ったのか?」 ヴィヴィオ「うん!!」(頬を赤らめつつ頷く) スバル「三人で選んだんだよ?」 シン「赤色か」 ヴィヴィオ「シンパパのお目めの色~」 ティアナ「開いてみなさいよ」 シン「ん」 待ち受けにはシン、シンの膝の上に座るヴィヴィオ、右隣りのティアナ、左隣りのスバルの四人の写真 ヴィヴィオ「シンパパ、シンパパ、お揃いだよ」(ピンクの携帯を取り出しながら) スバル「皆で色違いのにしたんだよ♪」(青い携帯を出しつつ) ティアナ「ま、まぁ、私も一応合わせたわよ。きょ、協調性って大事でしょ?」(照れながらオレンジの携帯を取り出すティアナ) ヴィヴィオ「ティアナママとスバルママもお揃いお揃い♪」 ティアナ「ママって///////」 スバル「何だかくすぐったいね」 シン「ヴィヴィオ~~ありがとうな~~~チュッ」(ヴィヴィオの頬にキス) ヴィヴィオ「きゃう~~~~♪♪」 ティアナ・スバル(*1) ヴァイス「……和むな……」(狩りをしつつ) エリオ「和みますね」(同上) キャロ「微笑ましいですね。出し抜かれてる御三方は脇に置いておいて」(PSPをしつつ) ヴァイス「………キャロは狩りか?」 キャロ「いえ、『戦場の絆~オールガンダム勢ぞろい~』です」 ヴァイス「ジムスナイパーて渋いな………」 yagami「そろそろ決着付けなアカンな。今は亡き偉大なる虎、三沢の魂よ、私のエルボーに宿れ!!」 魔王「刈り取ってあげるの」(フリッカースタイル) 便乗「フェ・イ・ト!フェ・イ・ト!!」(∞の円を描きながら) ツンつん×デレでれ 14話へ進む 一覧へ
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現在成長期な人気者 ヴァイキンマンへのコメント あんぱんまん -- 名無しさん (2008-04-05 06 43 54) ヴァイセクシャル -- 名無しさん (2008-04-09 01 49 26) きもてぃ・・・ -- 名無しさん (2008-04-24 00 53 06) ヴァイシャルハラスメント -- 名無しさん (2008-04-24 01 00 50) ↑ これはない -- 名無しさん (2008-04-24 01 02 39) 究極のエロス -- 名無しさん (2008-05-15 13 33 17) ( ^ω^) -- アンダーソン (2008-05-16 12 30 23) ヴァイシャルハラスメントwwwwwww -- 柊あんり (2008-07-09 16 51 58) アッー! -- ヴァイ (2008-07-11 00 28 51) 今晩セックスしよう。札幌駅北口のトイレで。 -- 追悼記念 (2015-12-15 14 10 45) おるぁもういないと思って油断しただるぉ!?ケツ出せよぶち犯すぞゴラァ嬉しいだるうるぉ!? -- ヴァイ (2015-12-15 15 04 41) @#!w -- 名無しさん (2020-01-14 03 50 24) おーーーーい!@#!ww -- 名無しさん (2020-09-13 05 32 01) 女の子あつまれ~~~~~~~~~~~~~~~~~ -- ヴァイ (2020-09-14 03 36 48) 名前 コメント
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エーデルヴァイスシリーズの登場人物 本項目では、エーデルヴァイスシリーズに登場する部隊と、それに所属する人物たちについての解説を行う。 1 「ノアの箱舟」新世界連合特別編成軍第二特務戦闘部隊(月面殴り込み艦隊)ストライカーサイオン・エンデ クリマール・エンデ 技術試験部隊フォックスハウル 技術試験部隊ウルフノーツアラン・ルドウィク 技術試験部隊バーズテイル 2 新世界連合・銀河連邦(地球勢力)新世界連合統合地球軍第六師団第十二戦闘部隊天魔(テンマ)相沢祐太郎 新世界連合統合地球軍第一師団第六戦闘部隊ザナドゥジャック・バルカン 新世界連合統合地球軍第一師団第十二戦闘部隊ドラゴンスレイヤーカルロス・アンファンス 新世界連合統合地球軍第一師団第三十四戦闘部隊ソーサリアンケヴィン・オライオン アングリフ・ウィーラー 新世界連合統合地球軍第一師団第五十六戦闘部隊イースベロボーグ・イーサン・ハインスキー ユリウス・キサラギ・スヴェンクルス アルナイヤ・クイン キース・ハウンゼン 銀河連邦統合地球軍第四師団第四戦闘部隊ヘルツォークミハエル・グラズノフ 新世界連合統合地球軍第一師団第一軍楽隊テンペストタリカン・ハーヴィー 3 アルマリオン帝国、アルマリオン共和国アルマリオン帝国残党部隊正十字 4 反政府組織イクリプス第一戦闘隊ヒュペリオンフェヴナン・ヴァネット 1 「ノアの箱舟」 新世界連合特別編成軍第二特務戦闘部隊(月面殴り込み艦隊)ストライカー 第二次月蝕戦争下において圧倒的劣勢に立たされた新世界連合側は、箱舟計画により生み出されたテロメア・ドライブを中心とした特務戦闘部隊を結成、大規模な反抗作戦に打って出た。 当時の最強最新鋭の機体であるエーデルヴァイスを配備されたストライカーは幾つか結成された特務部隊の中でも最も重要な役割を担っており、結果として月面のアルマリオン帝国本国に討ち入ることに成功、戦争を終結へと導いた。 鳴り物入りで運用されたストライカーだが、エーデルヴァイスの他には新世界連合産の通常戦力しか有していなかった(ただし、母艦シド・ビシャスには高出力エーテル砲の搭載などの独自改造が施されていた)。つまり、実質エーデルヴァイスだけが頼りだったにも関わらず、数々の戦場で獅子奮迅の活躍をしてきたその活躍はまさに英雄と呼ばれるに相応しいものである。 特に、アルマリオン最終防衛宙域「アルファIII」の戦闘では「一つの戦場でのキルスコア」でいまだ塗り替えられることの無い108機(部隊合計の記録だが、エーデルヴァイス単機で9割を稼いでいる)という記録を打ち立てたことが後の世にも語り継がれている。 余談になるが、「特務戦闘部隊」と銘打たれていても、彼らはあくまで「技術試験部隊」(文字通り「ノアの箱舟」お抱えの新機体試験運用隊)の延長としての性格が強い。 サイオン・エンデ 戦死した父の任務を継いでエーデルヴァイスのパイロットになった少年。父親譲りのセンスに加え、生まれ持っての眼の良さを兼ね備えており、アルマリオン帝国との戦いとその後のニューロフォビア戦(ライトニング作戦)で戦略的に大きな役割を担った。 同作戦の成功により軍部では「英雄」の二つ名で呼ばれるようになるが、その後の消息は不明。一説では、軍を辞め民間の旅行会社へと転職したとの噂も。 『エーデルヴァイス』本編開始時の階級は少尉。 クリマール・エンデ エーデルヴァイスの初代テストパイロット。アルマリオン帝国の奇襲により戦死。「剛神」の二つ名を持つ優秀なパイロットだった。最終階級は中佐(戦死後准将に処された)。 技術試験部隊フォックスハウル 箱舟計画の新型機NX-8ベルセルクの運用、およびスーパーノヴァ作戦遂行のために結成された試験部隊。 超巨大ニューロフォビア「ガンダルヴァ」と刺し違え全滅したが、同部隊が遺した戦闘データは後の新世界連合のテロメア・ドライブ開発に大きなフィードバックをもたらした。 技術試験部隊ウルフノーツ 箱舟計画の新型機NX-11の運用、およびアルマリオン帝国残党部隊「正十字」の追撃任務に命ぜられた試験部隊。元々軍部のエースが引き抜かれる形で結成されることの多い技術試験部隊の中でも特にトップエースの集まりとして知られており、正十字隊、およびその影に暗躍する勢力相手に素晴らしい戦果を挙げた。 しかし、箱舟計画の機密情報に触れてしまったことから全員が処分されるという末路を辿ることになる。 アラン・ルドウィク 元新世界連合軍のエースパイロット。その腕を買われ、「ノアの箱舟」の技術試験部隊に転属された。 技術試験部隊バーズテイル 箱舟計画の新型機NX-12の運用、およびラグナロク作戦遂行のために結成された試験部隊。 隊長=プレイヤーは「バーズテイル1」とだけ呼ばれ、本名や経歴は一切不詳。 2 新世界連合・銀河連邦(地球勢力) 前提として、新世界連合軍、および銀河連邦軍(作中の時代では陸海空という軍隊の区分けは存在しない。統合地球軍と宇宙方面軍に分かれる)は大きく分けて七つの師団から形成されている。その内訳は「第一:南北アメリカ方面、第二:ヨーロッパ方面、第三:アフリカ方面、第四:ロシア方面、第五:西アジア方面、第六:東アジア方面、第七:オーストラリア方面」となっており、その中で更に第~戦闘部隊という単位で運用されることになる。 新世界連合統合地球軍第六師団第十二戦闘部隊天魔(テンマ) 日本で最も優秀とされる戦闘部隊。隊長は日本人の相沢祐太郎(あいざわ・ゆうたろう)大佐。 日本方面軍の慣習として、プロパガンダや技術アピールなどのために一部の例外を除いて部隊には常に最新鋭の日本産テロメア・ドライブ(TEN-JINシリーズ)が与えられることになっているが、祐太郎は特別なカスタマイズを施したTEN-JIN1(覇天)に搭乗し続けている。これにはTENJIN-1SSの形式番号が割り振られており、覇天改、もしくは「ハンター」と呼ばれている。 相沢祐太郎 天魔隊隊長を務める青年。若くして連合軍最高の栄誉と言われる黒歴十字勲章を授与されていることからも分かるとおり、この時代最高のエースの一人としてよく知られている。 「ノアの箱舟」からの引き抜き要請も再三に渡り行われてきたが、破格の待遇を示されても彼の意思は変わらず、ニューロフォビア撃退戦で部下を守りその命を落とすまで生涯を統合地球軍の一員として過ごした。 新世界連合統合地球軍第一師団第六戦闘部隊ザナドゥ 隊長はジャック・バルカン中佐。稲妻のペイントが特徴的な8機のF-203FSで編成されており、スーパークルーズ性能を活かした一撃離脱の電撃戦を得意とした。 超音速飛行を行なう際の勝手の違いからとかく事故率が高く、「アローブレイク計画の失敗作」とまで言われたF-203FSを実戦レベルで運用してみせたのは彼らが初めてで、同機の再評価と共に後年「バルカン戦法」の名称で戦技教本にも記載されることになる。 対ニューロフォビア戦のみならず対人戦でも猛威を振るったこの戦法を買われ、銀河連邦発足とほぼ同時にウェルギリウス社の専属テスト部隊として引き抜かれる。のちの人類武装戦線のテロにも荷担したが、その後の消息は不明。 部隊名の由来は日本ファルコム制作のPCゲーム(なお、第一師団所属の戦闘部隊は全てこの由来に沿う)。 ジャック・バルカン 酒と戦闘機を愛し、何より部下を大事にする「理想の戦隊長ランキング第2位」の男(銀河連邦軍パイロット名鑑2106年度版より)。 ウェルギリウス社に引き抜かれてからもザナドゥ隊の面々を一人も死なすことなく任務を全うしていたが、ラグナロク作戦の最中に隊員諸共歴史の表舞台から姿を消した。 外伝『Etherbound I』において、主人公アングリフの危機を幾度も救うオイシイ役どころで初登場。『Ether-weiss V -OPERATION RAGNAROK-』』ではゲーム中盤の強敵としてプレイヤーの前に立ち塞がる。 新世界連合統合地球軍第一師団第十二戦闘部隊ドラゴンスレイヤー 隊長はカルロス・アンファンス少佐。竜と剣の紋章が描かれた4機のF-202[Sword]で編成されている。 NX-8の実証データを色濃く反映した接近戦重視機体であるF-202の発展系、更に尖ったチューニングを施したF-202[Sword]を運用していることから分かるとおり、操縦技術・練度共に一級のパイロットが揃った部隊として知られる。その分戦死率も高いことで有名だが、欠員が出る度命知らずの民間ドライバーの引き抜きを積極的に行なっていることから「死にたがりの集まり」と揶揄されることも。 カルロス・アンファンス 連合軍内で腕利きのパイロットとして羨望の眼差しを受けるトップエースの一人だが、あまりにも部下を死なせまくることから昇格と降格を繰り返した結果、現在は少佐の座に収まっている。 主人公のライバル部隊として『Etherbound I』に登場。新世界連合を脱退後、テロ組織「グラナダ」に加担し、戦闘の中で壮絶な最期を遂げる。 新世界連合統合地球軍第一師団第三十四戦闘部隊ソーサリアン 隊長はケヴィン・オライオン中佐。星空の文様が描かれた4機のF-201で編成されている(後にF-205に乗り換える)。 上官とのウマが合わずに捨駒としての扱いを受けることが多い彼らソーサリアン隊は、それだけに多くの死線を潜ってきたベテラン戦闘部隊である。卓越したケヴィンの指揮能力は第一師団の中でも有数のもので、彼なくしてソーサリアン隊の存続はなかったと言われている……が、同時に、ケヴィンの上下意識のなさ故に隊がぞんざいに扱われているという面もあり、彼の軍人としての総合評価は低めに収まっている。 ケヴィン・オライオン ソーサリアン隊隊長。階級は中佐。斜に構えてはいるが、実際には感情表現が下手なだけらしい。部下からの信頼は厚く、部隊内の結束は堅い。 ニューロフォビアとの決戦で瀕死の重傷を負い、指揮権をアングリフに委ねる。入隊当初は頼りなかったアングリフの成長をその目に焼きつけ、死亡。 アングリフ・ウィーラー 『Etherbound I』の主人公。物語開始当初は予備人員としてソーサリアン隊に配属されていたが、前任の四番機が戦死してから入れ替えの形で正式入隊。 周囲からは一歩劣る操縦技術を持ち前の動体視力とセンスで補い、毎度ズタボロになりながらも数々の戦場を渡り歩いていく。 最終的にはケヴィンからソーサリアン隊の指揮権を継ぎ、二代目隊長として『Etherbound IV』に再登場。上官への態度までケヴィンから引き継いでしまったらしく、いつも通り捨て駒としてエバーグリーン作戦に参加していた。 最終的な乗機はXF-205で、超高コストゆえ非常に限られた数しか配備されなかったこの機体を運用していたことからも分かるように、その実力を認められてはいたようだ。 新世界連合統合地球軍第一師団第五十六戦闘部隊イース 隊長はベロボーグ・イーサン・ハインスキー大尉。女神をモチーフにしたエンブレムが描かれた四機のXF-300で編成された外人部隊。 激化するニューロフォビア戦線における慢性的な戦力不足により立ち上がった、民間人のテロメア・ドライブ乗りを積極的に起用した多国籍傭兵部隊の編成計画。イース隊はその栄えある第一号で、その所属こそアメリカ方面軍(第一師団)となってはいるが状況に応じて宇宙などでも戦闘を行う。 XF-300は既存の第七世代戦闘機に空間制圧能力を搭載した「第七半世代戦闘機」のテストベッドで、その開発経緯の裏には「ノアの箱舟」と統合地球軍の確執が見え隠れする。 外伝『Etherbound II』で物語の中心となる部隊である。続編『Etherbound III』にも登場、対ニューロフォビア戦闘の経験を活かし『III』主人公の良きアドバイザーとして活躍した。 のちに銀河連邦統合地球軍第一師団第三特殊戦闘部隊付けとなる。 ベロボーグ・イーサン・ハインスキー イース隊隊長。元ジャンク屋で、月面都市ルブラン・マージュの闘機場ではチャンピオンとしてその名を馳せていた。 面倒見のいい性格で、若さゆえにぶつかり合いがちな隊の面々を父親的な視点で見守り、育てていく。 『Etherbound II』の中盤、太陽系踏破計画の旗艦「タローマティ」にニューロフォビアが寄生した虚無生命体との交戦の際、これに特攻し戦死。 ユリウス・キサラギ・スヴェンクルス イース隊二番機。ベロボーグの死後、戦闘への恐怖症を患い部隊を抜け出すも、のちに彼の遺言に従い隊長の座を引き継ぐ。 元々はテロメア・ドライブを用いたレース競技「ハイ・チューブ」のスター選手であり、地球軍に引き抜かれてからもすぐに優秀なパイロットとして頭角を現した。 直情的な性格なのが欠点で、しばしば自らの力を過信してしまう癖がある。しかし、前隊長の死とその克服を経てからは精神的に大きな成長が見られた。 アルナイヤ・クイン イース隊三番機。女性。劇中の愛称は「アルン」。読書からは「ナイアルヨ」「あるあ……ねーよwwwさん」等と呼ばれることが多い。 若くしてハイ・チューブの女性チャンプに輝くほどの操縦テクニックを持っており、同じくハイ・チューブ経由で引き抜かれた経歴を持つユリウスには強い対抗心を剥き出しにする(同時に、彼のことを高く評価してもいる)。 戦いを通じて次第にユリウスに惹かれるようになり、彼の隊脱走後は軍部にそのことが知られぬよう手を尽くした。ユリウス帰還後の新生イース隊では二番機を勤め、その名を地球軍中に轟かせた。 退役後、ユリウスと結ばれる。 キース・ハウンゼン 脇役。解説役。親友役。などなど、便利な役どころのキャラ。 アルンに惚れていたが最終的には身を引き、ユリウスとアルンの結婚式の際には仲人役を買って出た。いい奴。 銀河連邦統合地球軍第四師団第四戦闘部隊ヘルツォーク 隊長はミハエル・グラズノフ大佐。六機のF-201(のちにXF-300)で編成されており、隊長機のみ射撃戦に特化したカスタマイズが施されている(乗換えを経て、ノスフェラトゥ→ノスフェラトゥ改へと名前を変える)。 密かに地球へと侵入し繁殖を続けるニューロフォビアを狩り立てるための専門部隊で、同じ戦場に立った部隊が必ず壊滅することから「吸血部隊」の仇名でも知られる(実際には味方殺しのように言われる所以は無く、過酷なニューロフォビア戦線を生き残るだけの腕をもつ部隊が第四師団では彼らに少ないことが原因である)。 『Etherbound III』で物語の中心となる部隊。ロシアの厳しい環境下、極限状態での対ニューロフォビア戦は隊員たちの精神を確実に蝕んでいく。彼らが迎える結末とは……。 ミハエル・グラズノフ 新世界連合統合地球軍第一師団第一軍楽隊テンペスト 隊長はタリカン・ハーヴィー大佐。六機のF-202JFで編成されたパフォーマンス部隊である(この時代の軍楽隊はテロメア・ドライブを用いた民間向けのパフォーマンス任務を総合的に任されている)。 テロメア・ドライブで曲芸飛行をやらせれば右に出るものはいないと言われる熟練の部隊で、「テロメア・ドライブは戦争の道具ではない」という新世界連合にとって命題とも言える認識を体現するかのような華やかさでもって、民衆から絶大なる人気を得ている。 部隊名の由来は1981年にATARI社から発売されたシューティングゲーム(軍楽隊の部隊名は全て音楽に関係したビデオゲームに由来する)。 タリカン・ハーヴィー 元々は「斬鉄」の二つ名を持つエースパイロットとして戦場の空を飛んでいたが、とある武装テロ組織との戦闘中、年端も行かぬ子供が操縦するテロメア・ドライブと交戦、これを撃墜。特攻仕様のテロメア・ドライブを止めることは彼でなくとも不可能だったとは言え、戦うことの意味を考え直すために除隊までも考えるほどに思い悩んだ。 結果として彼が選んだ道は、「軍楽隊への転向」だった。銃を向け合う方法以外でも、人類の未来のため戦うことが出来る……そのことを証明するために。 外伝『Etherbound II』に登場し、主人公ユリウスが軽度のシェルショックに陥り部隊を離れた際、彼を諭す役割を担う。 「俺だって同じだ。俺たちはちょっとばかし、臆病なだけなのさ」「それでも俺は、テロメア・ドライブに乗りたい。人類のために、何より自分のために」 3 アルマリオン帝国、アルマリオン共和国 アルマリオン帝国残党部隊正十字 部隊名は正式な名称ではなく、自称に近い。 4 反政府組織 イクリプス第一戦闘隊ヒュペリオン 月面テロを引き起こしたイクリプスは、所有する500機のテロメア・ドライブを中心として部隊を大きく六つに分けた。 第一戦闘隊ヒュペリオンはイクリプスの本拠地である月面都市ルブラン・マージュ防衛を主目的とした最終決戦部隊で、月面テロの首謀者フェヴナン・ヴァネットが率いるイクリプス最強の戦闘隊である。 フェヴナン・ヴァネットの駆る専用カスタム機ミストレスをはじめ、通常運用が困難な巨大決戦兵器など、強大な戦力を多数有する。 フェヴナン・ヴァネット 元は新世界連合軍の一員として月面を守備していた部隊の一員。アステリアンとして生を受けたことが密かなコンプレックスとなっており、そのコンプレックスが彼を凶行に駆り立てた。 SF作品を愛読しており、テロメア・ドライブを用いた大反逆作戦という誰もが考えつつも実践しなかった行為の成功を絶対のものと確信していた。 .
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孤独は湿度のない乾いた空気であり、冷たい風のようなものだ。 乾いた空気は喉を痛めつける。 冷たい風は体を冷やす。 乾いて、傷ついた喉は水を求めて熱を発し。 冷えた体は熱を求めて、震え出す。 最初は辛い。 寒さに震え、痛みにもがくだろう。 しかし、何時しか慣れる。 冷え切った体と声すら出せない喉を残して。 ――岩陰で朽ちて死んだ男の口癖より 【UnrimitedEndLine】 外伝 『Biscuit・Shooter/5』 その日、足音が聴こえた。 古代遺失物管理部【機動六課】 地上部隊に置かれておきながらも、その所属は本局に属しているという異例な部隊。 所属している魔導師は最低でもBランク以上。 五名存在する隊長陣に至ってはAAA以上、リミッター保持でもAAクラスという常識外れの部隊。 その存在を知った地上部隊の人間はこう囁く。 ――海から送り込まれた地上への牽制だと。 ――金と権力を持て余した馬鹿が作ったお飾り部隊だと。 ――海と地上の戦力差を見せ付けるためだと。 そう囁かれる。 好意的な意見もあれば、悪い噂もある。どんなものにもマイナスな面があるように、妬む者も居れば憎む者もいる。 稀に出てくる才能ある魔導師はその待遇の良さ故に本局――『海』へと渡り、地上所属――陸は限りある戦力で任されている次元世界を保護する。 年々監視規模を増やす次元世界の調査や対処に海は人手不足を嘆き、陸は少ない戦力で嘆きながらも見捨てられない人々のために力を尽くす。 海は扱っている規模故に一つ次元の世界で戦う地上を軽んじて、地上は戦力を引き抜いていき防げるかもしれない事件への対処を遅らせる海を憎悪していた。 人は全て善人なわけがない。 治安を護ることを理念とする管理局に所属していても、全ての人間が清らかな面を持っているわけじゃない。 次元世界を管理するなどと謳っても、そこに所属し、そこで働くのはヒトだ。 もちろん次元世界には様々な生命体がいる。 様々な獣人、知能を持った獣、限りない情報から生まれた情報構成体、発展した文明から産み出された電子生命体、鋼鉄の血肉と配線と電子部品の頭脳を持った機械生命体 その他にも沢山の存在が居る。 けれど、決して完全なる善性を持った存在などいなかった。 失敗を起こさぬものが居ないように、悪が産まれない世界などどの次元にもなかった。 穏やかな性格の獣人たちが住む惑星があった。 けれど、そんな彼らでも誤解から喧嘩になることもある。 暴力を嫌う故に起こるのは小さな子供のような喧嘩だったが、それでも争いというものは産まれる。 ある研究者は言った。 「もし本当の意味であらゆる次元を作った創造主がいるのであれば、それはおそらくヒトなのだろうね」 ヒト。 それは不完全な存在を指し示す言葉だと、研究者は告げた。 不思議なことにどんな世界にも同じように伝わる神話がある。 神は土よりヒトを創り、己の分身とした。 己の手足である天使とは違う、己と同じ存在を産み出したのだ。 神話にはそう語られている。 だからこそ、ヒトは不完全なのだと研究者は言った。 創造主が完璧な存在ならば、生み出されたものも完璧になるはずだと。 完璧な存在が悪などという不具合を産み出すはずはないと。 その研究者はそう告げると、静かに笑った。 「だからこそ、可能性というものもあるのだがね」 不完全な存在だからこそ、完璧なものはない。 完璧ではないからこそ、可能性がある。 可能性があるからこそ、不完全。 不完全だからこそ、心がある。 心というのは不完全だからこそ生まれるのだから。 メビウスの輪のように永遠に結論へと辿り付かない疑問、ループし続ける きっと千年経っても見つからない答えを探しながら。 もがき続けるんだろう。 海と陸は油と水のような関係だ。 決して混じり合えない、反発するだけの存在。 水の中に油を垂らすように、機動六課という存在は地上部隊からどこか浮いている。 もしも混じり合わせたければ、それこそ石鹸水でも使わないといけないだろう。 「まあその場合、石鹸水になるのは親交関係ってとこか」 隊舎の寮。 ヴァイスはハッカの飴を舐めながら、地上本部の連絡員から渡された情報を見ていた。 手には待機状態のストームレイダー。演算処理と簡単な処理ならそのままでも行えるので、問題は無い。 空間に展開するモニターではなく、直接網膜に画像を投影しながら目を走らせる。 【陸士108部隊 部隊長――ゲンヤ ナカジマ】 映し出されているのは二日後、機動六課の面子がホテル・アグスタへの警備任務に向かう際に合同任務を行う部隊の隊長。 スターズのフォワードであるスバル・ナカジマの父親である人物であり、それ以前にヴァイスはこの人物を知っていた。 「あの時のおっさんか」 思い出すのは六年前。 “ティーダが死んだ事件”のこと。 かつてミッドチルダで起きた事件、今よりも遥かに多かったテロ行為。紛争があった時代。 ヴァイスとシグナムとティーダが。 地上本部の部隊全てが一丸となった大規模紛争。 【ミッドチルダ閉鎖事件】 ミッドチルダが7日間に渡り次元閉鎖された悪夢のような一週間。 その中で、直接は見ていないが著しい働きをした部隊の隊長として彼の名前をヴァイスは知っていた。 「古参組……か」 ヴァイスはどこか含みを持った呟きを洩らした。 そこに篭められたのは過去を思い出す感情。 地上本部も六年前と比べて大分状況が変わった。 頻発していたテロを鎮圧していた熟練の局員は退役や本局に引き抜かれて、今地上本部にいるのは碌なテロも知らない新人ばかり。 そんな中でも実戦を知り尽くし、熟練した隊員を揃えているのが陸士108部隊だった。 「純粋に警備だけなら、奴らに任せれば安心だろう」 ヴァイスはファイルを閉じて、証拠隠滅にデータを削除する。 大体必要な情報は頭に叩き込んだ。 主要な人員の顔も覚えたし、後は現場で何も起こらないことを祈るだけだ。 「俺は出ないしな」 そうなのだ。 今回の警備任務の舞台はクラナガンにある高級ホテル。 少々僻地にあるとはいえヘリで向かうわけがなく、陸で活用される移動トレーラーで輸送されることになっている。 ヘリパイロットであるヴァイスは緊急時に備えた交代部隊の輸送要員として、待機が決まっていた。 華やかな人員と優秀極まる魔導師が数を揃えたスターズとライトニング分隊だが、それの予備であり、交代部隊である人員もまた優秀な人員である。 B以上の陸戦魔導師が大半を占めており、その人員は地上本部から出向した隊員による部隊。 人手不足だというのに、なんとか運営に支障がない分の人員や面子を揃えて、差し向けたレジアスの苦労には頭が下がる一方だった。 彼らはレジアスから渡されたストッパーでもあり、同時に地上の地形や事情に疎いスターズやライトニングでは任せられない任務を請け負っている。 何かと癖の多い面子が揃っているが、陸の所属だったシグナムが指揮を取っていることで今のところ問題は起こっていない。 まああまり顔を合わせないこともあって、フォワード四人は交代部隊の人員のことなど殆ど知らないだろうが…… ――ピッと不意に音が鳴った。 「ん?」 ベッドの脇に置いておいたストームレイダーが電子音声で内容を伝えた。 『It is Time(時間です)』 「そんな時間か」 パキリと噛んでいたハッカの飴を噛み砕き、ヴァイスは立ち上がると、自室の隅のハンガー掛けに掛けたプライベート用のジャケットを羽織る。 ベットの縁の置いておいた待機状態のストームレイダーをズボンのポケットに入れ、机の上に置かれた小さな鏡で身だしなみを軽く確認しながらタバコの箱をジャケットの内ポケットに放り込む。 事前に申請しておいた外出許可証を手に持ち、ヴァイスはドアを開いて歩き出した。 エンジンが唸りを上げる。 己の手でチェーンナップしたエンジンが、タイヤに効率的にエネルギーを伝えて、低く唸るような咆哮を上げていた。 太陽も翳る夕闇の中、点灯もしてない大型二輪が一直線にクラナガンの路地裏を疾走し、その乗り手であるヴァイスは迷いもせずに狭い路地裏を突破し、転がっている紙切れやゴミなどを吹き飛ばしながら走っていた。 硬質な樹皮の感触がグローブ越しに伝わってくる。 狭い路地裏の曲がり角を、角に差し掛かる数秒前に体を大きく傾けて――曲がる。 アスファルトに傾いた体が擦れそうになりながら、握り締めた手でグリップを回し、加速。 タイヤの溝がアスファルトを噛んで、ギャリギャリと音を立てながら、されどスリップする事なく走る。 そして、直進。 数百キロにも至る鋼鉄のボディを引きずりながら、僅かに浮かんだ前輪を押しあげる様に後輪が回転する。 傾いた体が真っ直ぐに進む道に合わせて体勢を立て直し、バイクが唸り声を上げながら走った。 「んっ」 目的地が見えた。 路地裏を活用し、大きくショートカットした末に通常よりもずっと早く目的の店が見えたヴァイスは速度を落としながら、ブレーキを掛けていく。 目的地の十数メートル前、誰もいないことを確認し、ヴァイスは大きくバイクを振り回しながら後輪を滑らせた。 焦げ臭い臭いを撒き散らしながら、ギャリギャリと引き攣るような音を立ててバイクが止まる。 遠心力を失い、自然に傾くボディを地面に差し出した脚が支えた。 「着いたな」 バイクから居り、駐輪出来る位置にまで手で押すと、キーを抜く。 ヴァイスはフルフェイスのヘルメットを外すと、ヘルメットをハンドルに被せた。 一応チェーンを付けると、彼は静かに顔を見上げた。 そこにあったのは――六年前、一つの信じるものを教えられた場所だった。 カランと静かに音がした。 ドアに付けられた鈴が音を立てる。 「いらっしゃい」 ヴァイスが入ったドアの向こう、外見からは想像付き難いぐらいに大きなバーの中で、マスターがグラスを磨いていた。 八年前、今は死んだ先輩にして同僚の男に連れられてやってきた時から多少老け込んでいるものの、変わらない動きと笑みでこっちを見つめていた。 「おや? ヴァイス君か、一月ぶりだね」 「お久しぶりです」 返事を返しながら、ヴァイスは店内を見渡す。 まだ夕暮れに差し掛かった時刻、夜勤明けもいなければ通常業務が終わる時間でもない店には殆ど客がいなかった。 ――奥に座る見覚えのある人物を除いて。 「奥の席は空けてあるよ。存分に話すといい」 「ありがとうございます」 「なに、君は八年以上の付き合いだからね」 店と客という立場の違いあっても、人同士ということには変わりは無いとマスターは付け足した。 静かに飲みたいのなら静かに飲ませ、騒がしく飲みたいのならば騒がしく飲ませる。 望まれるままに品を出し、温かく見守るだけ。 そんなスタイルを保ち続けているから、どこか癖の強い陸の隊員がよく寄り付く場所になっているのだろうなとヴァイスは思う。 「それと注文は?」 「ロックの水割りで」 指二本並べてヴァイスが告げると、マスターは承知したように後ろに並べてある酒瓶を手に取り、準備を始めた。 その間にヴァイスは歩き出す。 奥のテーブル席へと近づいて、挨拶をした。 「えっとお久しぶりです、オーリスさん」 「久しぶりですね」 そこには私服姿に鞄を膝の上に置いたオーリスがカクテルを手に座っていた。 プライベートと仕事では使い分けているのか、前に地上本部では見かけた時よりも若干大きめなメガネを付けていた。 上には っと、観察はそこまでにしてヴァイスは用件を切り出した。 「連絡員なら、ドゥーエでも来ると思っていたんすけど」 それなりに顔馴染みになっている隠密諜報用の戦闘機人の名を上げる。 「彼女なら博士のところに連絡に向かわせました」 彼女が博士と言って、該当する人物は一人しか居ない。 ジェイル・スカリエッティ。 ヴァイスも良く知る科学者。広域指名手配犯、レジアスとの共犯者。 ――“奴ら”を叩き潰すための仲間。 「彼女の擬態能力はとても優秀です。連絡要員としてはこちらとしても欠かせないのですよ」 説明が足りないと思ったのか、オーリスは少しだけ早口で言葉を継ぎ足した。 実際ドゥーエは優秀だ。 顔を変え、体型も、見かけ上ならば性別も変更出来る彼女はどんな立場にも縛られないフリーな存在として動ける。 諜報員としてあれ以上の存在はいないだろうと、ヴァイスは承知していた。 「あ、いや、それは分かりました」 「それならいいのですが」 ほぅっと息を吐くオーリスを見ながら、ヴァイスはオーリスの正面から少し外れた横の位置に座る。 っと、そこでトレイを持ったボーイが二人のテーブルの上に水割りのグラスを置いた。 「どうぞごゆっくり」 礼式めいた言葉を残して、ボーイが立ち去る。 彼が立ち去ったのを確認し、ヴァイスは口を開いた。 「そういえばレジアスの大将は元気ですか?」 話の切り口としてヴァイスがレジアスの名を上げると、オーリスは彼独特の呼び方も含めておかしかったのか少しだけ微笑を浮かべた。 「ええ、元気です。少し仕事をし過ぎだと注意はしても、あまり聞いてくれないところが困ったものですが」 昨日も栄養ドリンクを飲んで、書類を書いてましたと少しだけ呆れたように呟くオーリス。 その言葉に、レジアスが目の下に隈を浮かべて、大量の書類に目を通している姿がヴァイスの目に浮かんでくるようだった。 「あー、それならよかったっす」 まずまずな会話の出だしに、ヴァイスが少しだけ笑みを浮かべた。 彼は別に初心な男というわけでもないのだが、女誑しというほど女になれているわけでもない。 あまり親しくもない女性には多少は気を使うし、そういう場合には普通の対応ぐらいしか出来ない。 「そういえば、あまり話したこともないですね」 「あ、そうっすね」 オーリスが不意に口を開いて、ヴァイスを見つめた。 氷のように冷たい女だと地上本部に所属する心無い人間が囁く怜悧に相応しい、切れ長の瞳が少しだけ和らぐ。 唇を湿らせたカクテルの縁には、口紅の跡。 「折角の機会ですので、礼を言わせていただきます」 「え?」 「貴方のお陰で、中将が――父が救われています」 淡々とした、けれどどこか感情を篭った言葉がヴァイスの耳に届く。 「父は喜んでいます。地上にも正義を理解している人がいるということを」 どこか冷たく、乾いた目に力が篭っていた。 「海は知らない。陸の窮地に、外へと羽ばたく人々の後ろを必死で護っている人間の正義を」 多少の酔いはあるのかもしれない。 けれど、それは本心なのだろう。 「父は孤立しています。海からは危険分子を軽蔑され、陸からは英雄だと尊敬されていますが、誰もその苦悩を知りません」 よく耳に届くレジアスの中傷。 海よりの局員が在籍する機動六課。そこには陸への軽視がある。 「たった100年でいい。ただ平和が欲しいだけなのに」 海には海の事情があるのだろう。 けれど、それは陸も同じだ。 外へ目を向け、次元を救うのはいいことだろう。 誰もが称える栄誉であり、誇らしいことだろう。 けれど、だからといって人々を護る陸が無駄なのか? 否。 そんな偉業よりも、オーリスはただ平和を求めていた。 そのために、父の反対も押し切って、今の職場にいる。 平和の殉教者に仕えていた。 「……と、すみません。礼を言うはずなのに、愚痴をもらしてしまって」 「いや、いいっす。気持ちは、その……よく分かりますから」 普段抑えていたものがお酒で噴出したのだろう。オーリスの目は少しだけ潤んでいた。 ヴァイスは取り繕うように、けれどしっかりと本音が混じった言葉で慰める。 「それで今回の用件なのですが。これをどうぞ」 コホンと調子を整えたオーリスが、持っていたカバンから数枚の書類を手渡す。 そこに書かれていたのは何らかの地図と地上本部の武装隊で使われる用語を多用した作戦書。 ヴァイスはそれを読み、そして次第に怪訝な顔つきを浮かべて――不意に目を厳しく細めた。 地図と作戦書に書かれていた場所の名前に。 「これは、まさか」 「その通りです。博士から依頼ですが」 「ビスケット・シューター。あなたへの狙撃任務です」 痛みがある。 誰もが痛みを抱えている。 生きるということは痛みだ。 苦しみながら悶える日々だ。 だから、これから行うことも平気だ。 痛みは増したところで、痛みなのだから。 覚悟を決めろ。 親しみを持った仲間を撃ち抜けるだけの覚悟を―― 戻る 目次へ 次へ
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「そこまで、だ。ヴァイス=シュヴァルツ」 「む……」 その声が響いた瞬間、常に余裕と嘲笑を崩さないヴァイスの表情が、はっきりと顰められた。ばっ、と後ろに飛びのく。 彼にこの顔をさせるのは、二人。 一人は以前関わって以来、ちょっとした勘違いからヴァイスを追い続けているシャルラ=ハロート。 そしてもう一人が、この男。 「またアナタですか。ブラウ=デュンケル」 「お互い縁があったということだ。これがな」 現れたのは、色合いと顔だけが違う、ヴァイスの鏡映しのような男。ブラウ=デュンケルを名乗る男だった。 その目線が、ちらりと「シャットアウト」で隔離された千鶴に向けられる。 「……奴にいろいろ言っていたようだが、遅きに失したな」 「? どういう……」 「今の意見は、あるいは異見は、奴が『人間』であるという前提がなければ成立しないからな」 つまり、今のヴァイスはもはや人間ではないのだと。 「死体が発見された時点で奴は人間としての存在を放棄している。今の奴は、ヴァイス=シュヴァルツの姿を取った現象そのものだ」 「……間違ってはいませんがね」 「だろうな。でなければ、貴様の操り人形だった俺がこうして自由意志で動ける理由がない」 聞き捨てならない言葉に詠人とマナが一瞬反応したが、ブラウは一瞬だけ目線を向けるとまたヴァイスを見る。 「……さて、さっきの指摘について何か言うことはないのか? 貴様のことだ、反論はいくらでも用意しているだろう」 今のヴァイスは、言うなれば「ヴァイスという男を構成していた要素」を拾い出して具現化させたような存在だ。 それくらいはあり得るだろう、と予測していた。 「そうですねェ。そもそもワタシは、特に何かを求めて事件を起こしているワケではありませんしね」 「愉快犯だからな、貴様は」 「ワタシが楽しければそれでいいのです。……と思っていたのは『生前』の話でしたが」 つまり? 「今は本当に何一つ目的はありません。言うなれば事件を起こすことそのものが目的です」 「……何だと?」 「今のワタシには時間すらも無意味な概念です。かつてのワタシは完全な愉快犯でしたが、今はそのようなレベルでは動いていません」 「どういうことだ……なら、何故僕を!?」 詠人の叫びにも、何でもない事のように答える。 千鶴へ話しかける形で。 「チヅルさん、先程アナタはワタシの演出を独りよがりであり、情愛という視点が欠けているがゆえにつまらない、ゆえに演出家を気取るのはやめた方がいいと。神の真似事であるがゆえに下らないと、そう言いましたね」 しかし、 「ワタシという存在は、その根幹が『神』という存在、あるいは概念の模倣という側面を持っています。ですから、どう足掻こうとワタシのすることは神の模倣でしかないのですよ」 千鶴の言うような「面白さ」が現れることは、ヴァイスである限りあり得ない。 「ありきたりなのも当然です。何故なら、ワタシはそもそも造り出すことを最初から求めていないのですからね」 「それは」 「『人間』だからこの辺りが限界……ですか? さあて、それはどうでしょうかね」 今も昔も、この男は容易に本音を悟らせない。表に出ている言葉や態度が真か偽か、確かめる方法はないのだから。 「今のワタシの存在概念は『原因』。答えなき問いの答え、理由なき事象の理由となるコトがワタシの存在です」 つまりは「だいたいこいつのせい」である。 「そこに情愛など必要ないのですよ。重要なのは、それによって事象が確定するコトです。それがどれほど有り触れた、つまらないものであっても、原因となるならば問題などないのですよ」 面白さを求める段階はとうに過ぎ去り、今は演出そのものが手段に切り替わっている。 千鶴の指摘は「作品」に対する評価のようなものだったが、ヴァイスはそもそも他者の評価というものを求めていない。ましてや今は、「作品」はただの手段。 他者からみてどれほど下らなかろうと、それは問題ですらないのだ。 「同時に、ワタシ個人の目的というものも消えました。まあ、演出を続ける中で何かしら面白そうなことが起きないか、とは考えていますが」 それでもやはり、本質は変わらない。人を操って嘲笑する、愉快犯。 ヴァイス=シュヴァルツとはそういう遍在だった。 「……あなたは……何なんですか」 千鶴の呟きは、まさに心底からの疑問、と言った風情だった。 ヴァイスは帽子を深くかぶり直して視線を隠し、その裏から言う。 「さあて、ね。演出家、道化師、愉快犯、人形遣い、あり得ざる遍在、眠らぬ死者、神の手違い、あざ笑う者、闇の彷徨者……」 さて、 「ワタシは、何なのでしょうねェ……?」 黒ずくめの男の姿をしたナニモノカは、そう言ってくつくつと嗤った。 永遠にも似たしばしの静寂の後、ブラウが口を開いた。 「……貴様が何なのかなど、どうでもいい。ただ、殺すだけだ」 「さすがにそれは御免被りたいですねぇ。このワタシが死んだところで、それはヴァイス=シュヴァルツという存在の消滅を意味するところではありませんが……」 どこまで本気かわからないような声音で、ヴァイスは首を竦めつつ言う。 そんな黒ずくめの男を複雑な感情を宿した目で見る、詠人。 「……だとしても。僕が、お前を見逃す理由にはならない」 「見逃す見逃さないではありません。ワタシがどうするか、なのですよ」 逃げようと思えばいつでも逃げられる。ただ、退屈しのぎにこうして話に興じているだけなのだと。 「それに、今まで自分が為したコトを棚に上げて言いますか? 厚顔無恥とはこのコトですね」 「言われる筋合いはない、お前には」 ばっさりと切り捨てたのはマナだ。詠人を庇うように一歩前に出る。 「今の言葉を返してやる、そっくりそのまま」 「……ふむ。これは困りましたねェ」 全く困ってなどいない、むしろ面白そうな顔で、ヴァイスはその言葉を受け取る。 「お前の言葉はただの呪い。聞く価値はない、全く」 「では、どうしますか?」 「決まっている」 きり、と睨み付け。 「―――ここで、終わらせる」 差し上げた手で、 「―――“ウェーブファンクション・リミテッド”」 指をひとつ、打ち鳴らす。 瞬間、場の空気が、いや流れが、明らかに「変わった」。 「!!? こ、コレは!?」 「……馬鹿な!? この力は……」 はっきりと驚きをあらわにしたのは、自身既に現象そのものに近いヴァイスと、マナの成したことを「見」たブラウの二人。 ついて行けず当惑する詠人やシュロ達に、マナは淡々と説明する。 「私の『ウェーブリンク』は波動を操り、また同化する力。超音波、電波、真空波、電磁波、物質波、脳波、重力波、光波……波とつくものは全て私の思うが儘」 それは、何を意味するのか? 「……ねえ。『波動関数』って知ってる?」 「……わかんないよ、マナちゃん。それ、何なの?」 「波動関数とは、簡単に言うと『何かの状態そのものを波として表した概念』のコトよ。波というものは、重ね合わせの概念を実現する……つまり、1つのナニカが、全く異なる状態を同時に取り得る、そんなコトを引き起こせる」 しかし、 「世界の構造上そんなコトは無理。状態は必ず、1つに収束される」 「つまり……どういうことなんだ?」 「……私の“ウェーブファンクション”は、物質、状況、なんでもいい、それらの状態を波として捉える技法。そして“リミテッド”は、それを私の望む形に収束させる力」 ここに来てマナが何をしたのか理解した面々が、一様に最大の驚愕を表に現した。千鶴や、ヴァイスですらも。 「ま、さか……」 ブラウの絞り出すような声に、マナは―――ニヤリ、と嗤う。 「―――そうよ」 「私は、私の望むままに状況を規定することが出来る。世界を波として捉え、そこに私という『観測者』を規定することで、淘汰された可能性を引き寄せて実現化する……それが、私の特殊能力」 ……もはや、絶句するしかなかった。そして、それを聞いたランカとアズールは、まさにそれが齎したであろう結果に思い当たって驚愕した。 「! ほ、ほな……」 「まさか、お母さんや琴音さんが帰って来たのって……!?」 「多分、それも“リミテッド”の作用ね。死んで『ここからいなくなった』二人を、私は観測して『ここにいる』と認識していた。そこに諸々の要素が重なってたまたま“リミテッド”が発動して……」 「……マナちゃんの観測した『二人がここにいる』って認識を、現実に持ってきたってワケか」 シュロの推測に「恐らくは」と注釈しつつ頷くマナ。 つまり彼女は、正しく「世界を左右する力」を手に入れたのだ。 その力を、彼女、夜波あらため白波 マナはどう使ったのか? 「……この力も万能ではない。あったコトをなかったコトには出来ない」 事実として規定されている事柄を覆すことは出来ない。アカネと琴音の場合は、『ここからいなくなったが、もう一度戻って来た』という流れを造り上げたのであり、二人が死んだという事実を覆したわけではない。 「けれど、その逆。なかったコトを実現させるコトは、出来る」 つまりは、予想外の事態を任意に引き起こせる。 「この状況を覆すために、私が望むのはずばり介入者」 「助っ人?」 「そう。ヴァイス、お前を倒すために、あるいは状況を進めるために、もっとも適任となる存在」 マナがそこまで行ったところで、突然「流れ」が途切れた。 同時に“リミテッド”がその作用を顕在化させ、マナが望んだ「適任」がどこからともなく、現れる。 「……ほら。もう来てくれたわ」 微笑んでマナが見やる、そこにいたのは――――。 集束する、可能性 (少女の指先が導く未来は―――?)